リーディングとライティングの重要性 その3
前々回、前回からの続きです。長くなってしまいまいしたが、もう少々お付き合い下さい。日本の学校のカリキュラムには、技術としてのリーディングやライティングを身につけるための授業がない、という話で前回は終了しました。内容を正確に理解するには繰り返して読む、読み手にわかりやすく書くためには何度も書き直す、といった方法は、時間が無限にあれば何かしらを見つけることができるかも知れませんが、かといって1日の大半を読むことと書くことに費やすほどの時間が誰にでもあるわけではありません。となれば、やはり読むため、あるいは書くための「方法論」を学ぶことが必要です。
例えば同じ内容について書かれた2つの文章を読む際に、片方はその内容がよく理解できるのに、もう一方はなかなか頭に入ってこないという場合があります。その理由は様々ですが、リーディングという発想で2つの文章を比較してみると、構造や構成などの点に違いが多く見られます。
ここからはさらに技術論になってしまいますが、英語を学習した方であれば、イントロダクション(序論)、ボディ(本論)、コンクルージョン(結論)という言葉を聞いたことがあるかも知れません。教科書などの文章の多くはこの3要素が決まった順に配置される構成になっています。その構造を理解してイントロダクションを読み進めれば、その文章全体の大まかな内容が理解でき、コンクルージョンではその理解が正しかったのかどうかが再確認できるのが英文の基本構造です。「例えば」、「さらに」、「反対に」、「つまり」などの意味を表すトランジションシグナルあるいはディスコースマーカーと呼ばれる語句に注目することで、文章の構成が理解しやすくなります。
私は、こういったことを知り、それを実際に活用することがリーディングだと考えています。さらに言えば、自分が読みやすかった文、内容が頭によく入ってきた文を真似ることがライティングの第一歩だと考えています。日記などを除けば、何かを書くことの目的は、書くことそのものにあるのではなく、他人に自分の考えを伝えることにあります。この所長ブログも読者の皆さんに私の意見や考えを伝えたいと思いながら書いています。自分が読みやすかった文は他人にとっても同様に読みやすい可能性が高いので、それを真似るのはとても良いライティングの学習方法です。
ライティングについて、もう1点付け加えたい点があるのですが、それは最終回となる次回に続きます。