インターナショナルスクールのカリキュラム
国際バカロレア(IB)系

インターナショナルスクール進学を検討中の保護者のための、進学前に知っておきたいことをまとめてみました。この内容は、マレーシア国内で発行されている日本語情報誌Senyum(セニョーム)さんに寄稿させていただいているインターナショナルスクール特集の記事を再編集したものです。

クラン川に沿って発展したクアラルンプールととスランゴール州を併せた地域をクランバリー(Klang Valley)と呼びますが、この地域だけで100校近いインターナショナルスクール(以下、インター校)があることはご存知でしょうか。マレーシア国内にある全インター校の半数以上がこの地域に集まっていますが、お子さんをインター校へ進学させることを決めた場合には、その中からお子さんに合った進学先を選びたいものです。そこで今回からは、学校選びの重要なポイントとなる、各校が採用するカリキュラムの違いをご説明します

国際バカロレア(IB)系カリキュラム

前回ご紹介したカナダ系カリキュラムと同様に、オーストラリアも各州でカリキュラムが異なります。クアラルンプールとスランゴール州近辺でオーストラリア系カリキュラムを採用しているインター校は2校あります。

スランゴール州スリクンバンガンにあるAustralian International School Malaysia(AISM)は、ニューサウスウェールズ州のカリキュラムを採用したインター校で、同じスランゴール州のシャーアラムにあるPeninsula International School Australia(PISA)はヴィクトリア州のカリキュラムを採用しています。

これまで紹介した各国の教育カリキュラムとは別に、スイスの国際バカロレア機関が認定する国際バカロレア(通称IB、正式名称はInternational Baccalaureate)カリキュラムを採用しているインター校もあります。

日本国内でも日本語によるカリキュラムを採用する学校が増え、また大学入学資格としても徐々に浸透してきているこの国際バカロレア(IB)カリキュラムですが、マレーシア国内では、小学校、中等学校から大学入学資格に当たる国際バカロレアのディプロマプログラム(IBDP)までを開講している学校と、国際バカロレアのディプロマプログラム(IBDP)プログラムのみを開講している学校とに分かれています。

国際バカロレア(IB)のカリキュラムは、3歳から12歳を対象とした小学生相当の初等教育プログラム(Primary Years Program、通称PYP)、11歳から16歳を対象とした中学高校生相当の中等教育プログラム(Middle Years Program、通称MYP)、そして16歳から19歳を対象とし、世界各国で大学入学資格として通用するディプロマプログラム(Diploma Program、通称DP)に分かれています。

初等教育プログラムPYPと中等教育プログラムMYPは授業を行う言語の指定がないため、日本国内でもこのカリキュラムを採用する学校が増えています。一方IBDPとも呼ばれるディプロマプログラムDPは原則として英語、フランス語あるいはスペイン語を使って実施されます。

PYPからDPまでを開講している代表的なインター校は、スランゴール州スンガイブローにあるIGB(IGB International School)とクアラルンプール市内やスランゴール州スバンジャヤなど複数の校舎を持つFIS(Fairview International School)です。なおIGBとFISはいずれも、7月下中あるいは8月上旬に新年度を開講し、7月/8月から12月までを第1学期、翌年1月から6月までを第2学期とする2学期制を採用しています。

またアメリカ系カリキュラムを採用するインター校のISKL(International School of Kuala Lumpur)やMKIS(Mont' Kiara International School)は、従来のアメリカ系カリキュラムと並行してIBDPも採用しており、生徒が自由に選択できるようになっています。またカナダ系カリキュラムを採用するSIS(Sunway International School)でも従来のカナダ系カリキュラムに加え、このIBDPが選択できるようになっています。これらの学校は10年生までは従来のカリキュラムで学び、11年生と12年生でIBDPを履修します。

この他でも、Sri KDU、Nexus International School、St Joseph's Institutionなどイギリス系カリキュラムを採用しているインター校でも、11年生まではイギリス系のカリキュラムでIGCSEを履修し、12~13年生の最終2学年ではIBDPを履修することが可能です。

この国際バカロレア(IB)カリキュラムの中で大学入学資格取得につながるディプロマプログラムIBDPについて最後にご説明します。IBDPの授業は、6つの科目グループと「知識の理論」(TOK: Theory of Knowledge)、「創造性・活動・奉仕」(CAS:Creativity・Action・Service)、「課題論文」(EE:Extended Essay)の3つの要件で構成されています。IBDPの取得を希望する生徒は、この6つの科目グループそれぞれから1つずつ科目を履修します。なお6つの科目のうち、3〜4科目は上級レベル(HL:Higher Level)、残りの2〜3科目は標準レベル(SL:Standard Level)で履修しなければなりません。IBDPの授業期間終了時に統一試験を受験します。この統一試験の結果と授業評価をもとに、各科目は1〜7の7段階評価で点数化されます、IBDP取得のためには、それぞれの科目で最低4ポイント、合計24ポイントの取得が必要となります。さらに上記の3つの要件(EE、TOK、CAS)を満たすことが必要であり、EEとTOKの両方の成績が3点まで加算されます。満点は7点×6科目グループ+EEおよびTOKの3点で45点です。

*統一試験とは

特定のカリキュラムを履修する生徒全員に課せられる試験のことで、この統一試験で一定以上の成績を収めた場合にのみ、義務教育修了資格や大学入学資格を得ることができます。

 

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